血圧やHbA1cが改善しない原因は睡眠時無呼吸症候群?糖尿病専門医が解説
食事を気を付けているのにHbA1cが下がらない
薬を飲んでも朝の血圧が下がらない
いびきがうるさいと言われる
そんなお悩みはありませんか?
生活習慣病の治療では食事・運動・薬物療法が重要ですが、それだけでは改善しない方もいらっしゃいます。
他には
・夜間の呼吸停止を指摘されたことがある
・日中の眠気
・集中力・記憶力の低下
その原因として見落とされやすい病気が
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)
です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?
睡眠中に何度も呼吸が止まってしまう病気です。
10秒以上の無呼吸や低呼吸を繰り返し、体内の酸素濃度が低下します。
本人は気づいていなくても、眠っている間に身体には大きなストレスがかかっています。
睡眠時無呼吸症候群の主な症状
こんな時に眠気を感じませんか?
☑座って読書をしている時
☑テレビを見ている時
☑会議や映画館など、公共の場でじっと座っている時
☑乗客として、続けて1時間以上車に乗っている時
☑午後、横になって休むことができる時
☑座って人と話をしている時
☑お酒を飲まずに昼食をとった後、静かに座っている時
☑運転中、渋滞などで数分間止まっている時
眠気の強さを調べるESS問診
上記の質問事項はESS(Epworth Sleepiness Scale)という日中の眠気の強さを測る国際的な問診票です。
8つの状況での眠気やすさを0〜3点の4段階で評価し
11点以上の場合はSASの疑いが強いと判断されます。
SASnetより
睡眠時無呼吸症候群の可能性を調べてみまましょう
高血圧と睡眠時無呼吸症候群の関係
本来眠っている状態は副交感神経が働き体がリラックスしています
睡眠中に呼吸が止まると身体は酸欠状態になります。
すると交感神経が活性化し、
寝ている間に血圧が上昇しやすくなります。
特に
- 朝の血圧が高い
- 降圧薬を飲んでも改善しない
- 2剤以上飲んでいる
このような方ではSASが隠れていることがあります。
特に朝の血圧が下がらない方は要注意です
1. 夜間血圧が下がらない
正常では睡眠中に10%以上血圧が下がります。
しかし睡眠時無呼吸症候群では
無呼吸 → 低酸素 → 覚醒反応 → 交感神経亢進が繰り返されるため
夜間血圧が下がりにくいです。
いわゆる、
- non-dipper(ノンディッパー)型
- riser(ライザー)型 / reverse-dipper(リバースライザー)型
が増えます。睡眠時無呼吸症候群関連の高血圧は、
- 夜間高血圧
- non-dipping
- 血圧変動増大
- 治療抵抗性高血圧
が特徴とされています。
2. 夜間にギザギザ上がる
SASは単に「夜の平均血圧が高い」だけではなく、無呼吸イベントごとに血圧がスパイクします。
つまり24時間血圧では、
- 夜間血圧が平坦
- 夜間にギザギザ波形
になりやすいです。
無呼吸による低酸素・覚醒反応で夜間血圧の急上昇が起こります。
3. 早朝高血圧・morning surgeが出やすい
睡眠時無呼吸症候群では夜間の交感神経亢進が朝まで残るため、
- 起床時血圧が高い
- 朝の血圧上昇が強い
というパターンもあります。
特に糖尿病・慢性腎不全・高齢者では、朝の血圧上昇は心血管イベントリスクとなるため、外来血圧だけでは見逃しやすいです。
4. 仮面高血圧が多い
診察室ではそこまで高くないのに、
- 夜間だけ高い
- 早朝だけ高い
- 家庭血圧が高い
というパターンを仮面高血圧といいます。
逆にクリニックや病院へ来ると緊張してして血圧が上がることを白衣高血圧といいます。
白衣高血圧は比較的リスクが低いとされていますが、将来的に高血圧へ進行することもあるため経過観察が必要です。
実は、外来での血圧測定だけでは高血圧の原因を把握することは難しいのです。
朝の血圧上昇は睡眠時無呼吸症候群と関連があるかもしれないため、
高血圧症を指摘された方・疑われた方は家庭血圧測定を推奨いたします。
糖尿病と睡眠時無呼吸症候群の関係
睡眠不足や低酸素状態は
インスリンの働きを悪くし、血糖を悪化させます。
その結果、
- 空腹時血糖値の上昇
- HbA1cの悪化
- 血糖変動の増大
につながります。
なぜ睡眠不足で血糖が上がるのか?
睡眠中に何度も呼吸が止まると身体はストレス状態になります。
アドレナリンやコルチゾールなどのストレスホルモンが増加し、
肝臓から糖が放出されやすくなります。
またインスリンの効きも悪くなるため血糖値が上昇します。
肥満だけでなく、睡眠中の酸欠そのものがストレスとなり、糖尿病を悪化させる可能性があります。
糖尿病患者さんと睡眠時無呼吸症候群の関係
糖尿病の患者さんの25~85%が睡眠時無呼吸症候群を合併し、
睡眠時無呼吸症候群の患者さんの15~30%が糖尿病を合併していると報告があります。Hideaki.K et al. Endocr J 2018
睡眠時無呼吸症候群が重症であればあるほど血糖コントロールは悪化します
毎日適切にCPAPを使用することで、眠気や睡眠の質だけでなく、血糖コントロールや血圧の改善が期待できます。Eileen R et al. Endocr Pract 2022
放置するとどうなる?
睡眠時無呼吸症候群を放置すると
- 高血圧症
- 糖尿病
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- 心房細動
- 心不全
- 交通事故リスク増加
などにつながることがあります。
単なる「いびきの病気」ではなく
生活習慣病や心血管疾患、心臓病などに影響がある病気です。
当院では睡眠時無呼吸症候群の検査・治療に対応しています
簡易PSG(終夜睡眠ポリグラフ検査)検査について
PSGとは脳波や呼吸状態、心拍など、睡眠中の身体の様々な生理的変化を一晩中記録し、睡眠の質や睡眠障害の有無を客観的に調べるための機械です。
当院ではSimon.J(サイモン・ジェイ)という機器を用いて簡易検査を行います。
小池メディカルより
この機器でAHIという指数を測定します。
AHIとは
睡眠1時間あたりに「無呼吸(10秒以上息が止まる状態)」と「低呼吸(呼吸が浅く弱くなる状態)」が合計で何回発生したかを示す数値です。
- 正常範囲: 1時間あたり 5回未満
- 軽症: 1時間あたり 5〜15回未満
- 中等症: 1時間あたり 15〜30回未満
- 重症: 1時間あたり 30回以上
検査の結果、AHI(無呼吸・低呼吸指数)が30回以上でCPAP(持続陽圧呼吸療法)による治療をご提案いたします。
精密PSGについて
簡易検査でAHIが30未満ではあるが、睡眠時無呼吸症候群が否定できない方はPSGでの精密検査を推奨いたします。
精密PSGではAHI 15以上でCPAPの適応となります。
CPAPで改善が期待できること
😴 症状
- 日中の眠気
- 朝の頭痛
- 起床時のだるさ
- 夜間頻尿
- 集中力低下
🩺 血圧・検査値
- 朝の血圧の改善
- HbA1c・血糖値の改善
❤️ 病気のリスク
- 高血圧症
- 心房細動
- 心不全
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
のリスク低減が期待できます
🚗 日常生活
- 居眠り運転予防
- 仕事のパフォーマンス向上
- 睡眠の質改善
- QOL(生活の質)向上
検査の段取り
①当院受診され、日々の症状やESS問診などから睡眠時無呼吸症候群を疑う方には簡易検査をご提案します。
②当院から小池メディカル社へ患者様情報をFAXします。
③小池メディカル社からご自宅へSimon Jが郵送されます。
④ご自身で装着され1週間以内に小池メディカル社へ返送します。
⑤小池メディカル社からデータが当院へ届きます。
⑥受診日から約1か月後に結果説明を行い、検査結果次第でCPAP導入を検討いたします。
睡眠時無呼吸症候群がご心配な方はご相談ください
血糖値や血圧は、食事・運動・薬も大事ですがそれだけではありません。
睡眠も生活習慣病治療の重要な柱です。
- 治療を続けているのに思うように改善しない
- いびきを指摘される
- 夜間の呼吸停止を指摘される
- 日中眠い
という方は、一度睡眠時無呼吸症候群のご相談をしてください。
【クリニック情報】
- クリニック名: 沼口内科江古田駅北口糖尿病クリニック
- 住所: 東京都練馬区小竹町1-36-5 1階 [アクセス]
- 最寄り駅: 西武池袋線「江古田駅」北口 徒歩約4分
- 院長: 沼口隆太郎(糖尿病専門医・認定内科医)
- 診療内容: 内科・糖尿病・生活習慣病・発熱・抗体検査(自費)/ワクチン(自費)・健康診断(自費)/診断書(自費)
ご予約はこちら|練馬区・江古田ではしかの抗体検査を受けるなら
抗体検査・ワクチン接種ともに、事前のご予約をおすすめしています。
▶︎ お電話でのご予約: [03-5926-4553】
▶︎ ネット予約: [希望さる科をクリックして予約してください]
▶︎ 診療時間・休診日: [リンク]

📌 よくあるご質問
Q. 睡眠時無呼吸症候群は糖尿病の原因になりますか?
A. 睡眠時無呼吸症候群では睡眠中の低酸素や睡眠の質の低下によりインスリンの働きが悪くなります。その結果、血糖値やHbA1cが上昇しやすくなります。Q. HbA1cが下がらない原因は睡眠時無呼吸症候群ですか?
A. 食事や運動、薬物療法を続けているにもかかわらずHbA1cが改善しない場合、睡眠時無呼吸症候群が関与していることがあります。Q. 睡眠時無呼吸症候群は高血圧の原因になりますか?
A. はい。睡眠中の低酸素により交感神経が活性化されるため、夜間高血圧や早朝高血圧の原因となります。Q. 朝の血圧が高いのは睡眠時無呼吸症候群でしょうか?
A. 朝の血圧上昇は睡眠時無呼吸症候群の特徴の一つです。特にいびきや日中の眠気がある方は検査をおすすめします。Q. 睡眠時無呼吸症候群のセルフチェック方法はありますか?
A. いびき、日中の眠気、夜間頻尿、起床時頭痛などがある方は睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。ESS(Epworth Sleepiness Scale)も参考になります。Q. CPAP治療で血糖値は改善しますか?
A. 個人差はありますが、毎日適切に使用することで睡眠の質や血圧だけでなく血糖コントロールの改善も期待できます。Q. 睡眠時無呼吸症候群の検査は自宅でできますか?
A. はい。簡易PSG検査はご自宅で行うことができ、睡眠中の呼吸状態や無呼吸の程度を評価できます。Q. 睡眠時無呼吸症候群を放置するとどうなりますか?
A. 高血圧、糖尿病悪化、心筋梗塞、脳梗塞、心房細動、心不全などのリスクが高まることが知られています。
