リベルサスからマンジャロへ切り替えると医療費はいくら変わる?糖尿病専門医がシミュレーション
糖尿病外来でよくいただく質問です。
マンジャロって注射だから高いですよね?
実際、
リベルサスからマンジャロへの切り替えを考えているものの、
医療費が気になって迷われている方も多いのではないでしょうか。
2026年8月にはマンジャロの薬価が約25%引き下げられました。
では、
実際にリベルサス14mgから切り替えると、
毎月の自己負担はいくら変わるのでしょうか。
今回は
糖尿病専門医が
実際の保険診療を想定してシミュレーションしてみます。
リベルサス®(セマグルチド)とは
リベルサス(セマグルチド)は、
2021年に発売された世界初の経口GLP-1受容体作動薬です。
これまでGLP-1受容体作動薬は注射薬しかありませんでしたが、
リベルサスの登場により、
飲み薬でGLP-1治療ができるようになりました。
主な作用は
・血糖値を改善する
・食欲を抑える
・胃から腸への食べ物の移動をゆっくりにする
ことで、
HbA1c改善や体重減少が期待できます。
一方で、
服用方法にはいくつか注意点があります。
リベルサスは、
- 起床後すぐの空腹時に服用する
- 約120mL以下(コップ半分程度)の少量の水で服用する
- 服用後30分間は飲食・他の薬を避ける
必要があります。
また、
夜遅い時間の食事や夜食などで胃の中に食べ物が残っていると、
薬の吸収が低下し、
十分な効果が得られない可能性があります。
そのため、
毎朝決まった時間に服用できる方には向いていますが、
生活リズムが不規則な方では飲み忘れや効果のばらつきが生じることがあります。
現在、日本では
3mg・7mg・14mg
の3種類があり、
通常は3mgから開始し、
副作用を確認しながら段階的に増量します。
リベルサスの薬価(28日分)
リベルサス®の薬価(28日分)
| 用量 | 1錠薬価 | 28日分薬価 | 3割負担 | 2割負担 | 1割負担 |
|---|---|---|---|---|---|
| 3mg | 139.6円 | 3,909円 | 約1,173円 | 約782円 | 約391円 |
| 7mg | 326.8円 | 9,150円 | 約2,745円 | 約1,830円 | 約915円 |
| 14mg | 488.5円 | 13,678円 | 約4,103円 | 約2,736円 | 約1,368円 |
※薬剤費のみ。診察料・生活習慣病管理料・処方箋料・調剤料などは含みません。
リベルサス14mgの薬価は
488.5円/錠です。
28日分では13,678円
3割負担では約4,103円
が薬剤費の自己負担となります。
マンジャロ®(チルゼパチド)とは
マンジャロ(チルゼパチド)は、
2023年に発売されたGIP/GLP-1受容体作動薬です。
用法は週1回の自己注射です。
マンジャロはアテオス®という使い切りタイプの注射器を使用します。
お腹や太ももなどに当ててボタンを押すだけで注射できるため、操作は比較的簡単です。
成分はGLP-1だけでなく、
GIPというもう一つのインクレチンにも作用することが特徴です。
その結果、
・血糖値を改善する
・食欲を抑える
・胃から腸への食べ物の移動をゆっくりにする
・体重減少をサポートする
ことが期待できます。
SURPASS-2試験では、
オゼンピック1mgと比較して
HbA1c改善・体重減少ともに優れていました。
現在、日本では
2.5mg・5mg・7.5mg・10mg・12.5mg・15mg
の6種類があり、
通常は2.5mgから開始し、
4週間以上の間隔で段階的に増量します。
マンジャロの薬価(2026年8月改定後)
2026年8月1日の薬価改定により、
25%薬価が引き下げられました
マンジャロ薬価改定(2026年8月1日)月4本(約1か月分)
| 規格 | 旧薬価 | 新薬価 | 薬価差額 | 3割負担 | ▲3割軽減 | 2割負担 | ▲2割軽減 | 1割負担 | ▲1割軽減 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2.5mg | 7,696円 | 5,772円 | ▲1,924円 | 約1,732円 | ▲577円 | 約1,154円 | ▲385円 | 約577円 | ▲192円 |
| 5mg | 15,392円 | 11,544円 | ▲3,848円 | 約3,463円 | ▲1,154円 | 約2,309円 | ▲770円 | 約1,154円 | ▲385円 |
| 7.5mg | 23,088円 | 17,316円 | ▲5,772円 | 約5,195円 | ▲1,732円 | 約3,463円 | ▲1,154円 | 約1,732円 | ▲577円 |
| 10mg | 30,784円 | 23,088円 | ▲7,696円 | 約6,926円 | ▲2,309円 | 約4,618円 | ▲1,539円 | 約2,309円 | ▲770円 |
| 12.5mg | 38,480円 | 28,860円 | ▲9,620円 | 約8,658円 | ▲2,886円 | 約5,772円 | ▲1,924円 | 約2,886円 | ▲962円 |
| 15mg | 46,176円 | 34,632円 | ▲11,544円 | 約10,390円 | ▲3,463円 | 約6,926円 | ▲2,309円 | 約3,463円 | ▲1,154円 |
※月4本(週1回投与×4週間)で計算。
※自己負担額は薬剤費のみの概算です。診察料・在宅自己注射指導管理料・注射針代などは含まれません。
では実際にリベルサス14mgからマンジャロへ切り替えると、患者さんが支払う医療費はいくら変わるのでしょうか。
今回のシミュレーション条件
今回は
次の条件で比較しました。
<変更前>
・リベルサス14mg内服中
・生活習慣病管理料(Ⅱ) 333点
・糖尿病のみ(高血圧・脂質異常症なし)
・血液検査
・再診
・院外処方箋
<変更後>
・マンジャロ注射 2.5㎎から開始
・在宅自己注射指導管理料(月27回以下):650点
・導入初期加算:580点(導入後3か月まで)
・自己血糖測定なし
・糖尿病のみ(高血圧・脂質異常症なし)
・再診
・血液検査(同じ項目)
・院外処方箋
今回の比較では、リベルサス14mgを28日間継続した場合の
・薬剤費 13,678円
・生活習慣病管理料(Ⅱ)3,330円
を合計した17,008円(約5103円)を基準としています。
再診料、検査料、処方箋料など、切り替え前後で変わらない費用は比較から除外しています。
マンジャロは2026年8月改定後の薬価とします。
今回は導入初月~4か月目までのシミュレーションをしてみます。
パターン①(マンジャロ5㎎まで)
リベルサス14mg→マンジャロ2.5mg→5mg→5mg→5mg
| 月 | 治療内容 | マンジャロ変更後の対象費用 | リベルサス継続との差額 | 3割負担差 | 2割負担差 | 1割負担差 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1か月目 | 2.5mg×4本+自己注射管理料+導入初期加算 | 18,072円 | +1,064円 | 約+319円 | 約+213円 | 約+106円 |
| 2か月目 | 5mg×4本+自己注射管理料+導入初期加算 | 23,844円 | +6,836円 | 約+2,051円 | 約+1,367円 | 約+684円 |
| 3か月目 | 5mg×4本+自己注射管理料+導入初期加算 | 23,844円 | +6,836円 | 約+2,051円 | 約+1,367円 | 約+684円 |
| 4か月目 | 5mg×4本+自己注射管理料 | 18,044円 | +1,036円 | 約+311円 | 約+207円 | 約+104円 |
3割負担で見ると
- 1か月目:約320円増
- 2か月目:約2,050円増
- 3か月目:約2,050円増
- 4か月目以降:約310円増
5mg維持なら、導入初期加算のため2~3か月目が高くなりますが
4か月目以降は、リベルサス14mgとの差が+311円とかなり小さくなります。
「注射薬であるマンジャロはかなり高い?」
という一般的なイメージとは、少し異なる結果です。
パターン②(マンジャロ7.5㎎まで)
リベルサス14mg→マンジャロ2.5mg→5mg→7.5mg→7.5mg
| 月 | 治療内容 | マンジャロ変更後の対象費用 | リベルサス継続との差額 | 3割負担差 | 2割負担差 | 1割負担差 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1か月目 | 2.5mg×4本+自己注射管理料+導入初期加算 | 18,072円 | +1,064円 | 約+319円 | 約+213円 | 約+106円 |
| 2か月目 | 5mg×4本+自己注射管理料+導入初期加算 | 23,844円 | +6,836円 | 約+2,051円 | 約+1,367円 | 約+684円 |
| 3か月目 | 7.5mg×4本+自己注射管理料+導入初期加算 | 29,616円 | +12,608円 | 約+3,782円 | 約+2,522円 | 約+1,261円 |
| 4か月目 | 7.5mg×4本+自己注射管理料 | 23,816円 | +6,808円 | 約+2,042円 | 約+1,362円 | 約+681円 |
3割負担で見ると
- 1か月目:約320円増
- 2か月目:約2,050円増
- 3か月目:約3,780円増
- 4か月目以降:約2,042円増
7.5mgまで増量した場合は、
薬剤費が上がるため、
4か月目以降は、リベルサス14mgとの差は+2042円となります。
5mg維持より自己負担は増加しますが
それでも、
薬価改定前よりは切り替えやすくなっている印象です。
パターン③
リベルサス14mg→マンジャロ2.5mg→5mg→7.5mg→10mg
| 月 | 治療内容 | マンジャロ変更後の対象費用 | リベルサス継続との差額 | 3割負担差 | 2割負担差 | 1割負担差 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1か月目 | 2.5mg×4本+自己注射管理料+導入初期加算 | 18,072円 | +1,064円 | 約+319円 | 約+213円 | 約+106円 |
| 2か月目 | 5mg×4本+自己注射管理料+導入初期加算 | 23,844円 | +6,836円 | 約+2,051円 | 約+1,367円 | 約+684円 |
| 3か月目 | 7.5mg×4本+自己注射管理料+導入初期加算 | 29,616円 | +12,608円 | 約+3,782円 | 約+2,522円 | 約+1,261円 |
| 4か月目以降 | 10mg×4本+自己注射管理料 | 29,588円 | +12,580円 | 約+3,774円 | 約+2,516円 | 約+1,258円 |
3割負担で見ると
1か月目:約320円増
2か月目:約2,050円増
3か月目:約3,780円増
4か月目以降:約3,770円増
10mgまで増量すると、
自己負担もさらに増加します。
一方で、
SURPASS試験では
HbA1c改善効果・体重減少効果ともに高いことが報告されており、
効果と費用のバランスを考えて選択することが重要です。
自由診療ではどうなの?
自由診療では、
保険診療とは違い、
薬剤費がそのまま価格に反映されることがほとんどです。
そのため、
マンジャロ5mg・7.5mg・10mgでは
保険診療より費用差が大きくなることがあります。
例として
| 薬剤 | 自由診療の相場(1か月) |
|---|---|
| リベルサス14mg | 約2~3万円 |
| マンジャロ2.5mg | 約2.5~3万円 |
| マンジャロ5mg | 約4~5万円 |
| マンジャロ7.5mg | 約5.5~6.5万円 |
| マンジャロ10mg | 約7~8万円 |
※自由診療はクリニックごとに価格が異なります
※当院ではマンジャロやリベルサスの自由診療は行っておりません
保険診療では
診療報酬も含めて計算されるため、
思っていたより差が小さいケースもあります。
マンジャロへ切り替えるメリット
マンジャロは
GIP/GLP-1受容体作動薬です。
SURPASS-2試験では
オゼンピック1mgと比較し、
HbA1c改善・体重減少ともに優れていました。
薬価改定後は
以前より導入しやすくなり、
「費用が高いから」
という理由だけで諦める必要は少なくなったと言えるでしょう。
まとめ
リベルサス14mgからマンジャロへ切り替えると、
自己負担は増加します。
しかし、
2026年8月の薬価改定により、
以前より負担は軽くなりました。
特に
マンジャロ5mgで維持できる場合は、
+311円と思っていたほど自己負担が増えないケースもあります。
医療費だけで治療薬を決めるものではありません。
・リベルサス14㎎でも血糖改善、体重減少も期待できますが起床時の飲み方が生活に合っていない
・マンジャロ週1回の注射の方が生活に合っている
など生活やお体、薬価に合ったお薬を提案させていただきます。
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【クリニック情報】
- クリニック名: 沼口内科江古田駅北口糖尿病クリニック
- 住所: 東京都練馬区小竹町1-36-5 1階 [アクセス]
- 最寄り駅: 西武池袋線「江古田駅」北口 徒歩約4分
- 院長: 沼口隆太郎(糖尿病専門医・認定内科医)
- 診療内容: 内科・糖尿病・生活習慣病・発熱・抗体検査(自費)/ワクチン(自費)・健康診断(自費)/診断書(自費)
ご予約はこちら|練馬区で内科受診をするなら
▶︎ お電話でのご予約: [03-5926-4553】
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Q&A(よくあるご質問)
Q. リベルサスからマンジャロへ切り替えると医療費はいくら増えますか?
A. 糖尿病のみでリベルサス14mgからマンジャロへ切り替えた場合、マンジャロ5mg維持では導入初期加算終了後の4か月目以降、3割負担で約311円増という試算になりました。7.5mg・10mgまで増量した場合は自己負担も増加します。Q. マンジャロはリベルサスより高い薬ですか?
A. 薬価だけを見るとマンジャロの方が高い用量もあります。しかし、2026年8月の薬価改定で約25%値下げされました。また、保険診療では薬価だけでなく診療報酬も自己負担額に影響するため、実際の窓口負担は薬価だけでは判断できません。Q. リベルサスとマンジャロはどちらが使いやすいですか?
A. リベルサスは毎朝空腹時に少量の水で服用し、その後30分間は飲食や他の薬を避ける必要があります。一方、マンジャロは週1回の自己注射で、毎日の服薬時間を気にする必要がありません。生活スタイルに合わせて選ぶことが大切です。Q. マンジャロへ切り替えるメリットは何ですか?
A. マンジャロはGIP/GLP-1受容体作動薬です。SURPASS-2試験ではオゼンピック1mgよりHbA1c改善効果・体重減少効果ともに優れていました。さらに2026年8月の薬価改定により、以前より導入しやすくなりました。Q. リベルサスからマンジャロへ切り替えるデメリットはありますか?
A. マンジャロは自己注射が必要です。また、導入初期の3か月間は自己注射指導管理料や導入初期加算が算定されるため、一時的に自己負担が増える場合があります。容量を増やすごとに自己負担額も増えます。Q. リベルサス14mgとマンジャロ5mgはどちらがおすすめですか?
A. 一概にどちらが良いとは言えません。血糖コントロール、体重、生活スタイル、副作用、医療費などを総合的に考えて選択することが大切です。飲み薬を希望する方にはリベルサス、毎日の服薬が負担な方にはマンジャロが向いている場合があります。Q. マンジャロは5mgで続ける人が多いですか?
A. マンジャロは通常2.5mgから開始し、4週間以上の間隔で5mgへ増量します。その後は血糖値や体重、副作用などを確認しながら、5mgで維持する方もいれば、7.5mg以上へ増量する方もいます。Q. リベルサスとマンジャロでは体重減少効果に違いがありますか?
A. どちらも体重減少が期待できますが、SURPASS-2試験ではマンジャロの方がオゼンピック1mgより体重減少効果が高いことが報告されています。治療効果には個人差があります。Q. マンジャロへの切り替えは誰でもできますか?
A. マンジャロへの切り替えは、HbA1c、肥満の有無、低血糖リスク、副作用、合併症などを総合的に評価して判断します。医療費だけでなく、生活スタイルや治療効果も踏まえて主治医と相談しながら治療薬を選択しましょう。
