メタボ=太っている人ではありません|糖尿病専門医がメタボリックシンドロームをわかりやすく解説
「メタボですね」と言われてショックを受けていませんか?
健康診断で
メタボリックシンドローム
と言われると、
健康診断でメタボですねと言われたけど、特に症状はない。
少し太っているだけじゃないの?
病院へ行くほどなの?
と思う方が多いかもしれません。
しかし、メタボリックシンドロームとは単に「太っている人」のことではありません。
実は、将来の糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞などを予防するために作られた考え方です。
メタボリックシンドロームとは?
厚生労働省 健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~より
メタボリックシンドローム(Metabolic Syndrome)とは、
直訳すると代謝異常症候群といい
内臓脂肪の蓄積を背景に、高血圧・脂質異常症・高血糖が重なった状態をいいます。
診断基準は
①ウエスト周囲系
男性85㎝以上、女性90㎝以上
もしくは内臓脂肪面積100㎠以上相当
②以下のうち2項目以上
-
脂質異常:高TG血症150mg/dl以上 かつ/または 低HDLコレステロール血症40mg/dl未満
-
高血圧:収縮期血圧130mmHg以上 かつ/または 拡張期血圧85mmHg以上
-
高血糖:空腹時血糖値110mg/dl以上
以上の①②を満たした場合メタボリックシンドロームの診断に至ります。
つまり、
メタボリックシンドロームは
太っていること
を指す言葉はなく、
生活習慣病が始まりやすい体質・状態
を示しています。
「死の四重奏」から始まった考え方
1980年代にKaplanは
次の4つが重なると心筋梗塞などのリスクが大きく増えることが分かったのです。
・内臓脂肪(上半身性肥満)
・高血圧
・糖尿病・耐糖能異常
・脂質異常症
これを
「Deadly Quartet(死の四重奏)💀🎻」
と提唱しました。
まだ糖尿病・高血圧など基準値があいまいな時代です。
原因はわかりませんが肥満・血圧・血糖値・脂質は放置したら危ないということが突き止められました。
1988年 Reavenは
「Syndrome X」を提唱しました。
高血糖、高血圧、脂質異常症は、それぞれ独立した病気ではなく、
インスリン抵抗性という共通の土台から生じる可能性があると考えたのです。
この考え方は後のメタボリックシンドロームへと発展し、
現在の健康診断や生活習慣病予防の考え方の基盤となっています。
インスリン抵抗性とは
インスリン抵抗性とは、膵臓からインスリンが十分に分泌されていても、
体がその働きに反応しにくくなった状態をいいます。
通常、インスリンは血液中のブドウ糖を筋肉や肝臓へ取り込み、血糖値を下げる働きをしています。
しかし、内臓脂肪が増えるなどの影響でインスリンが効きにくくなると、
血糖値を保つために膵臓はさらに多くのインスリンを分泌しなければなりません。
この状態が続くと、高インスリン血症や高血糖だけでなく、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病も起こりやすくなります。
脂肪肝はメタボリックドミノの始まり
慶應義塾大学病院KOMPASより
近年では
「メタボリックドミノ」
という考え方があります。
遺伝的体質・生活習慣
↓肥満・脂肪肝
↓インスリン抵抗性
↓糖尿病・高血圧・脂質異常症
↓動脈硬化
↓慢性腎臓病(CKD)
↓心筋梗塞・脳梗塞
↓要介護・健康寿命の短縮、QOLの低下
つまり脂肪肝は単なる肝臓の病気ではなく、
将来の生活習慣病のスタート地点とも考えられています。
なぜ健康診断で腹囲を測るのでしょうか?
お腹周りを測る意味があるの?
と思ったことはありませんか?
腹囲は、内臓脂肪がたまっている可能性を簡単に調べるための指標です。
本来、内臓脂肪を正確に評価するにはCT検査が必要ですが、健康診断で全員にCTを撮影することは現実的ではありません。
そのため、日本ではCTをとる代わりの代用指標として腹囲測定を採用しています。
では、なぜ日本では腹囲を重視しているのでしょうか。
その理由は、日本人の体質にあります。
欧米人では高度な肥満が問題になることが多い一方、
日本人は比較的やせていても、内臓脂肪が増えることで糖尿病や脂肪肝を発症しやすいことが知られています。
これは、日本人がインスリンを分泌する力が欧米人より弱く、内臓脂肪の影響を受けやすい体質だからです。
そのため、「体重が標準だから」「見た目は太っていないから」と安心はできません。
腹囲の測定は、内臓脂肪の蓄積や、それに伴うインスリン抵抗性・生活習慣病のリスクに気付くきっかけとなります。
健康診断で腹囲を測る目的は、「太っている人」を探すことではなく、将来の糖尿病や動脈硬化につながるリスクを早期に見つけることなのです。
メタボの本当の原因は「遺伝」と「生活習慣」
メタボリックシンドロームは
遺伝的な体質に
食べ過ぎ
運動不足
睡眠不足
ストレス
などが加わることで起こります。
つまり、
体質だけでも、生活習慣だけでもなく、その両方が重なることで発症する病態
なのです。
メタボで本当に怖いのは動脈硬化です
メタボリックシンドロームそのものが命に関わる病気ではありません。
しかし、その先にある
✅糖尿病
✅高血圧
✅脂質異常症
が進行すると、
血管は少しずつ傷つきます。
これが動脈硬化です。
さらに進行すると、
✔ 心筋梗塞
✔ 脳梗塞
✔ 慢性腎臓病
✔ 失明
✔ 透析
などの重大な病気につながる可能性があります。
健康寿命やQOL(生活の質)にも大きな影響を及ぼします。
メタボリックシンドロームと言われたら
メタボと言われても、悲観する必要はありません。
むしろ、
生活習慣を見直す絶好のタイミングです。
まずは
・体重を3〜5%減らす
・毎日20〜30分歩く
・甘い飲み物を控える
・夜食を減らす
・十分な睡眠をとる
といった小さな改善から始めましょう。
また、
✔️血糖値
✔️HbA1c
✔️血圧
✔️LDLコレステロール
✔️中性脂肪
✔️肝機能(ALT)
などに異常がある場合は、一度医療機関で詳しく評価を受けることをおすすめします。
まとめ
メタボリックシンドロームは、「太っている人」を見つけるための制度ではありません。
将来倒れてしまうかもしれない"メタボリックドミノ"を、最初の1枚で止めるための考え方です。
健康診断でメタボと言われたら、
「まだ症状がないから大丈夫」と考えるのではなく、
将来の健康を守るためのサインとして受け止めることが大切です。
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【クリニック情報】
- クリニック名: 沼口内科江古田駅北口糖尿病クリニック
- 住所: 東京都練馬区小竹町1-36-5 1階 [アクセス]
- 最寄り駅: 西武池袋線「江古田駅」北口 徒歩約4分
- 院長: 沼口隆太郎(糖尿病専門医・認定内科医)
- 診療内容: 内科・糖尿病・生活習慣病・発熱・抗体検査(自費)/ワクチン(自費)・健康診断(自費)/診断書(自費)
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Q&A(よくあるご質問)
Q. メタボリックシンドロームとは何ですか?
A. 内臓脂肪の蓄積を背景に、高血圧・高血糖・脂質異常症が重なり、動脈硬化のリスクが高くなった状態です。Q. メタボは太っている人だけがなりますか?
A. いいえ。日本人は肥満でなくても内臓脂肪やインスリン抵抗性が原因でメタボになることがあります。Q. メタボを放置するとどうなりますか?
A. 糖尿病や高血圧、脂質異常症が進行し、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、慢性腎臓病などにつながる可能性があります。
