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糖尿病の人は不眠症が多い?眠れない原因と睡眠時無呼吸症候群について糖尿病専門医が解説!

[2026.08.14]

なかなか眠れない

 

夜中に何度も目が覚める

 

寝ても疲れが取れない

 

このような睡眠の悩みはありませんか?

実は、糖尿病と睡眠には深い関係があります。

2型糖尿病患者を対象とした研究では、

  • 不眠症・不眠症状:約39%

  • 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA):55~86%

  • むずむず脚症候群(RLS):8~45%

と、さまざまな睡眠障害が高頻度に認められることが報告されています。(*1)

大切なのは、

「眠れない=不眠症」ではない

ということです。

睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群、生活習慣など、原因を見つけることで改善できる睡眠障害もあります。

今回は糖尿病専門医の立場から、糖尿病と睡眠の関係、不眠症の原因、睡眠薬、そして見逃したくない睡眠時無呼吸症候群について解説します。

 

糖尿病の人には睡眠障害が多い

2021年の論文では、2型糖尿病患者において、

不眠症・不眠症状 39%

睡眠時無呼吸症候群 55~86%

むずむず脚症候群 8~45%

と報告されています。

また、不眠症状がある2型糖尿病患者では、不眠症状がない患者と比較してHbA1cが平均0.23%高かったというメタ解析も報告されています。(*2)

糖尿病診療では血糖値だけでなく、

「きちんと眠れているか?」

にも目を向けることが大切です。

睡眠時間と糖尿病発症の関係

睡眠は短すぎても、長すぎても糖尿病発症との関連が報告されています。

約48万人を対象とした前向き研究のメタ解析では、2型糖尿病の発症リスクが最も低かった睡眠時間は1日7~8時間程度でした。

7時間未満では睡眠時間が1時間短くなるごとに糖尿病発症リスクが約9%上昇し、長時間睡眠でも1時間長くなるごとに約14%上昇するU字型の関連が認められています。

ただし、「7時間寝れば糖尿病にならない」という意味ではありません。

睡眠も食事や運動と同じように、生活習慣を考えるうえで大切な要素の一つです。

睡眠障害と不眠症は同じではありません

睡眠障害は、不眠症だけを意味する言葉ではありません。

代表的には、

  1. 不眠症

  2. 睡眠関連呼吸障害(睡眠時無呼吸症候群など)

  3. 中枢性過眠症

  4. 概日リズム睡眠・覚醒障害

  5. 睡眠時随伴症

  6. 睡眠関連運動障害(むずむず脚症候群など)

などに分類されます。

不眠症では、

  • なかなか眠れない「入眠困難」

  • 夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」

  • 朝早く目が覚める「早朝覚醒」

  • 寝ても熟睡した感じがしない「熟眠障害」

などがみられます。

単に睡眠時間が短いだけではなく、睡眠の問題によって日中の生活に支障が生じているかどうかも重要です。

睡眠薬の前に生活習慣を確認しましょう

 

眠れないとき、まず確認したいのが普段の生活です。

カフェイン

コーヒーだけでなく、緑茶、紅茶、エナジードリンクなどにも含まれます。夕方以降の摂取は睡眠に影響することがあります。

アルコール

寝つきが良く感じても、睡眠後半の質を低下させ、中途覚醒につながることがあります。また、いびきや睡眠時無呼吸を悪化させる可能性があります。

タバコ

ニコチンには覚醒作用があります。

光・スマートフォン

夜間に強い光を浴び続けると睡眠・覚醒リズムに影響します。

昼夜逆転

夜更かしや朝寝坊が続くと体内時計がずれ、夜になっても眠気が起こりにくくなることがあります。

このほか、室温、騒音、寝具、運動、昼寝、就寝・起床時間なども睡眠に影響します。

「不眠症」と思っていたら別の病気のことも

生活習慣を見直しても眠れない場合、

「睡眠薬を飲めばよい」

とは限りません。

特に内科で確認したいのが、

睡眠時無呼吸症候群(OSA)

と

むずむず脚症候群(RLS)

です。

糖尿病では睡眠時無呼吸症候群を見逃さない

睡眠時無呼吸症候群というと「大きないびき」「寝ている間に呼吸が止まる」というイメージがあります。

しかし、

  • 夜中に何度も目が覚める

  • 熟睡感がない

  • 朝起きても疲れている

  • 日中眠い

  • 朝に頭痛がある

  • 夜間に何度もトイレに行く

などをきっかけに見つかることもあります。

つまり、本人は「不眠症」だと思っていても、実は睡眠時無呼吸症候群が睡眠を妨げている可能性があります。

糖尿病と睡眠時無呼吸症候群には双方向の関連があります

2025年に報告された35研究のシステマティックレビュー・メタ解析では、

睡眠時無呼吸症候群患者は糖尿病を合併する可能性が2.29倍

糖尿病患者は睡眠時無呼吸症候群を合併する可能性が2.12倍

と、両者には強い関連が認められました。(*3)

糖尿病と睡眠時無呼吸症候群は高頻度に合併する

ことを示す重要な結果です。

特に、

✅糖尿病+肥満

✅糖尿病+高血圧

✅糖尿病+いびき

✅糖尿病+日中の眠気

などがある場合には、睡眠時無呼吸症候群が隠れていないか確認することが大切です。

睡眠時無呼吸症候群を調べる方法

睡眠時無呼吸症候群の可能性を評価する質問票として、

ESS(Epworth Sleepiness Scale)

や

STOP-Bang質問票

があります。

STOP-Bangでは、いびき、日中の眠気、無呼吸の指摘、高血圧、BMI、年齢、首周囲径、性別などからOSAのリスクを評価します。

さらにOSAが疑われる場合には、自宅で行う簡易睡眠検査があります。

睡眠中の呼吸や酸素飽和度などを測定し、結果によってはより詳しい終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)を行います。

関連ブログ
👉睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?問診票でリスクチェック!糖尿病専門医が解説 

脚がムズムズして眠れない場合は?

むずむず脚症候群(RLS)も不眠の原因になります。

典型的には、

  • 脚がムズムズする

  • 脚を動かしたくて仕方がない

  • 安静にすると悪化する

  • 動かすと楽になる

  • 夕方~夜に悪化する

といった特徴があります。

糖尿病患者ではRLSも多く、2022年のメタ解析では有病率は約25%と報告されています。

RLSでは鉄欠乏が関係することもあるため、必要に応じてフェリチンなどを確認します。

原因によっては鉄補充や薬物療法など、治療できる場合があります。

睡眠薬にはいくつか種類があります

現在使用されている主な睡眠薬には、

ベンゾジアゼピン系

GABAを介して睡眠を促します。依存・耐性、眠気、ふらつき、転倒などに注意が必要です。

非ベンゾジアゼピン系

ゾルピデム(マイスリー)などがあります。「非ベンゾだから安全」というわけではなく、眠気、ふらつき、健忘などに注意します。

メラトニン受容体作動薬

ラメルテオン(ロゼレム)などがあり、睡眠・覚醒リズムに関係するメラトニン受容体に作用します。

オレキシン受容体拮抗薬

スボレキサント(ベルソムラ)、レンボレキサント(デエビゴ)などがあり、覚醒を維持するオレキシンの働きを抑えます。

それぞれ特徴が異なるため、年齢、症状、併存疾患などを考えて選択します。

大切なのは、

「眠れないから睡眠薬」ではなく、「なぜ眠れないのか?」を考えることです。

糖尿病+不眠がある方は睡眠についてもご相談ください

2型糖尿病患者では、不眠症だけでなく睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群など、さまざまな睡眠障害が多いことが知られています。

特に、

  • いびきを指摘される

  • 寝ている間に呼吸が止まる

  • 肥満や高血圧がある

  • 夜中に何度も目が覚める

  • 日中眠い

  • 朝起きても疲れている

といった場合には、睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性があります。

「不眠症だと思っていたら、実は睡眠時無呼吸症候群だった」

という可能性も考え、睡眠薬だけで対処する前に原因を確認することが重要です。

参考文献

Schipper SBJ, et al. Sleep disorders in people with type 2 diabetes and associated health outcomes: a review of the literature. Diabetologia. 2021;64:2367-2377.

Koopman ADM, et al. Prevalence of Insomnia (Symptoms) in T2D and Association With Metabolic Parameters and Glycemic Control: Meta-Analysis. J Clin Endocrinol Metab. 2020;105:614-643.

Huang H, Chen Z. Association between obstructive sleep apnea syndrome and type 1/type 2 diabetes mellitus: A systematic review and meta-analysis. J Diabetes Investig. 2025;16:521-534.

Shan Z, et al. Sleep duration and risk of type 2 diabetes: a meta-analysis of prospective studies. Diabetes Care. 2015;38:529-537.

Zhu J, et al. Prevalence of restless legs syndrome in people with diabetes mellitus: A pooling analysis of observational studies. eClinicalMedicine. 2022.

厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」

当院では睡眠時無呼吸症候群が疑われる方に、必要に応じて自宅で行える簡易睡眠検査をご提案しています。

睡眠について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

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Q&A(よくあるご質問)

Q. 糖尿病の人は不眠症が多いですか?
A. はい。メタ解析では、2型糖尿病患者の約39%に不眠症または不眠症状が認められたと報告されています。糖尿病では不眠症だけでなく、睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群なども多いため、「眠れない原因」を確認することが大切です。

Q. 糖尿病と睡眠時無呼吸症候群は関係がありますか?
A. 関係があります。2025年のメタ解析では、睡眠時無呼吸症候群のある人では糖尿病を合併するオッズが2.29倍、糖尿病のある人では睡眠時無呼吸症候群を合併するオッズが2.12倍と報告されています。特に肥満、高血圧、いびき、日中の眠気がある方は注意が必要です。

Q. 不眠がある場合、すぐに睡眠薬を飲んだ方がいいですか?
A. 必ずしもそうではありません。カフェイン、アルコール、喫煙、スマートフォン、生活リズムなどが睡眠に影響していることがあります。また、睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群など治療できる原因が隠れている場合もあるため、原因を確認してから治療を考えることが大切です。

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