健診異常シリーズ⑪【non-HDLコレステロール】が高いと言われたら。糖尿病専門医が解説!
健康診断の結果で
non-HDLコレステロール値が高いです
と書かれていて、
HDL(善玉)コレステロールと何が違うの?
悪いコレステロールが高いということ?
放置してもいい?
と不安になった方も多いのではないでしょうか。
non-HDLコレステロールは「ノンHDLコレステロール」と読み、nHDL-Cなど略されることもあります。
近年、LDL(悪玉)コレステロールと並んで動脈硬化リスクを評価する重要な指標として注目されています。
今回はnon-HDLコレステロールの意味や基準値、高くなる原因、受診の目安について糖尿病専門医が分かりやすく解説します。
non-HDLコレステロールとは?
コレステロールの指標として
総コレステロール、HDL(善玉)コレステロール、LDL(悪玉)コレステロールがあるのはご存じでしょうか。
ブログご参照ください
non-HDLコレステロールとは、
HDL(善玉コレステロール)以外の「悪玉コレステロール全体」を表す指標です。
動脈硬化に関連するコレステロールは
LDLコレステロールだけではなく、
-
VLDL(ブイエルディーエル)
-
レムナントコレステロール
- カイロミクロン
-
Lp(a) (リポプロテイン・エー)
などがあります。
近年では、LDLコレステロールだけでは分からない動脈硬化リスクを把握するための指標として重要視されています。
non-HDLコレステロールの計算方法
計算は非常に簡単です。
全体量から善玉を引いた残りがnonHDL(HDLじゃない)コレステロールの値になります
non-HDLコレステロール = 総コレステロール(TC)− HDLコレステロール
例えば
-
総コレステロール:220mg/dL
-
HDLコレステロール:60mg/dL
の場合、
220−60=160mg/dL
となります。
追加の採血は必要なく、健康診断でも自動的に計算されます。
non-HDLコレステロールの基準値
一般的には
治療目標はLDLコレステロールの管理目標に30mg/dLを加えた値になります。
年齢・血圧・検査結果によりリスク分類され
| nonHDLコレステロール | LDLコレステロール | |
| 低リスク | 190mg/dL以下 | 160mg/dL以下 |
| 中リスク | 170mg/dL以下 | 140mg/dL以下 |
| 高リスク | 150mg/dL以下 | 120mg/dL以下 |
が目安です。
なぜnon-HDLコレステロールが必要なのでしょうか?
LDLに30プラスした値に何の意味があるのかと疑問に思われるかもしれません。
以前はLDLコレステロールだけを重視することが多くありました。
特に中性脂肪(TG)が高い方では、
LDLコレステロールだけでは動脈硬化リスクを十分に評価できないことがあります。
そのため、LDLだけでなくnon-HDLコレステロールも重要になります。
このような脂質異常は糖尿病や肥満、メタボリックシンドロームの方に多くみられます。
保険診療では測定できる脂質検査に限りがあります
一般検査で測定する脂質項目は
-
総コレステロール
-
HDLコレステロール
-
LDLコレステロール
-
中性脂肪(TG)
- nonHDLコレステロール
ですが、
保険診療ルールでは、
総コレステロール・HDLコレステロール・LDLコレステロールの3項目を毎回セットで測定できません。
必要に応じて検査項目を選択します。
- 総コレステロール+HDLコレステロールを選択すると
LDLコレステロールはみれないですが、nonHDLコレステロールは算出できます。
- LDLコレステロールを選択すると
LDLの数値はみれますが、non-HDLコレステロールは算出できません。
- 中性脂肪(TG)が高い方では
LDLコレステロールをだけでは動脈硬化リスクを過小評価してしまい、
内服薬の開始や調整の判断に影響がでることもあります。
そのためTG高値の際は積極的にnonHDLコレステロールで評価する方針としております。
中性脂肪(TG)が高い方ではLDLコレステロールだけでは不十分なことがあります
TG正常
TG高値ではLDLが一見正常に見えますが、LDL以外の悪玉コレステロールも増えていることがあります。
糖尿病や肥満症などの方はインスリン抵抗性により
中性脂肪が高くなりやすいです。
LDLコレステロール以外にも動脈硬化を進める悪玉コレステロールが増えてきます。
そのためLDLコレステロールだけを見ていると、
「正常だから安心」
と思ってしまうことがあります。
しかし実際には動脈硬化リスクが高いこともあり、
そのような方を見逃さないためにnon-HDLコレステロールが重視されています。
non-HDLコレステロールのエビデンス
non-HDLコレステロールは比較的新しい検査項目と思われがちですが、現在では世界中のガイドラインで重要な脂質管理指標として位置付けられています。
nonHDLコレステロールを下げると冠動脈疾患が減少
Robinson JG, Wang S, Smith BJ, Jacobson TA.J Am Coll Cardiol. 2009;53:316-322.
約40万人を対象とした大規模研究では、
・non-HDLコレステロールが高いほど30年間のASCVD(動脈硬化性心血管疾患)発症リスクが高くなった。
・non-HDLコレステロールを50%低下させることで75歳までのASCVD発症リスク低下が期待された。
・その効果は若いうちから治療を開始するほど大きいことが示された。
Brunner FJ, Waldeyer C, Ojeda F, Salomaa V, Kee F, Sans S, et al. Lancet. 2019;394:2173-2183.
特に欧州心臓病学会(ESC)・欧州動脈硬化学会(EAS)の脂質異常症ガイドラインでは、
LDLコレステロールに加え、non-HDLコレステロールを重要な治療目標としています。
また、日本動脈硬化学会のガイドラインでも、特に中性脂肪が高い患者さんではnon-HDLコレステロールを重視することが推奨されています。
LDLコレステロールと同じく、放置せず下げれば下げるだけよりよい指標だと考えられます。
non-HDLコレステロールが高くなる原因
-
LDLコレステロールが高い
-
中性脂肪が高い
-
肥満
-
糖尿病
-
運動不足
-
飽和脂肪酸の摂り過ぎ
-
飲酒
-
家族性脂質異常症
放置するとどうなる?
LDLコレステロールと同じで動脈硬化が進行します。
高い状態が続くと、
-
動脈硬化
-
狭心症
-
心筋梗塞
-
脳梗塞
-
下肢閉塞性動脈硬化症
などのリスクが高くなります。
non-HDLコレステロールを下げる方法
改善方法はLDLコレステロールの管理と基本的には同じです。
-
適正体重を目指す
-
有酸素運動を習慣にする
-
飽和脂肪酸を控える
-
野菜や魚を積極的に食べる
-
中性脂肪を改善する
-
禁煙する
-
必要に応じてスタチンなどの薬物療法を行う
糖尿病や肥満の改善により、中性脂肪が低下するとnon-HDLコレステロールも改善することが多くあります。
健診でnon-HDLコレステロールが高かったら何科を受診すればいい?
まずは
-
糖尿病内科
-
循環器内科
- 一般内科
のいずれかを受診しましょう。
特に、
-
糖尿病
-
高血圧
-
中性脂肪高値
-
肥満
を伴う方では、動脈硬化リスクを総合的に評価することが大切です。
まとめ
non-HDLコレステロールは、HDL以外の悪玉コレステロール全体を評価できる指標です。
特に中性脂肪が高い方では、LDLコレステロールだけでは分からない動脈硬化リスクを把握するのに役立ちます。
健康診断でnon-HDLコレステロールの高値を指摘された場合は、そのまま放置せず、一度当院まで相談・受診してみてください。
【関連ブログ】
健診異常シリーズ② 【LDL(悪玉)コレステロール】が高いと言われたら何科を受診する?糖尿病専門医が解説!
健康診断シリーズ⑤ 【中性脂肪(TG)】が高いと言われたら何科を受診する?糖尿病専門医が解説!
悪玉コレステロールを爆上げする食べ物10選!糖尿病専門医が解説!
【クリニック情報】
- クリニック名: 沼口内科江古田駅北口糖尿病クリニック
- 住所: 東京都練馬区小竹町1-36-5 1階 [アクセス]
- 最寄り駅: 西武池袋線「江古田駅」北口 徒歩約4分
- 院長: 沼口隆太郎(糖尿病専門医・認定内科医)
- 診療内容: 内科・糖尿病・生活習慣病・発熱・抗体検査(自費)/ワクチン(自費)・健康診断(自費)/診断書(自費)
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Q&A(よくあるご質問)
Q. non-HDLコレステロールとは何ですか?
A. HDL(善玉)コレステロール以外の動脈硬化に関わるコレステロール全体を表す指標です。
Q. non-HDLコレステロールとLDLコレステロールの違いは?
A. LDLは悪玉コレステロールの一部ですが、non-HDLはLDLに加えてVLDLやレムナントなども含めて評価します。
Q. non-HDLコレステロールが高い原因は何ですか?
A. LDLコレステロールや中性脂肪の増加、肥満、糖尿病、運動不足、飲酒、家族性脂質異常症などが原因になります。
Q. non-HDLコレステロールが高いと何が問題ですか?
A. 動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患リスクが高くなります。
Q. 中性脂肪が高い人でnon-HDLコレステロールが重要なのはなぜですか?
A. 中性脂肪が高い方ではLDLコレステロールだけでは動脈硬化リスクを過小評価することがあり、non-HDLコレステロールの方が実際のリスクを反映しやすいためです。
Q. non-HDLコレステロールはどうやって計算しますか?
A. 総コレステロールからHDLコレステロールを引くだけで計算できます。
Q. 健診でnon-HDLコレステロールが高かったら何科を受診すればよいですか?
A. 一般内科、糖尿病内科、循環器内科の受診がおすすめです。糖尿病や肥満、中性脂肪高値がある方は早めの相談をおすすめします。
